【 健康情報 】 > ひざの痛み・変形性膝関節症の話

立つ・座る・歩くなど日常生活の中の動作を行う時、ひざには大きな負担がかかっています。 そのため、ひざは痛みを起こしやすい部位であり、特に中高年になるとひざの痛みを訴える人が増えてきます。 このひざの痛みの原因には色々ありますが、中でも最も多いのが「変形性膝(ひざ(しつ))関節症」です。

そこで今回は、この「変形性膝関節症」についてお話ししましょう。

変形性膝関節症とは

ひざ関節に負担がかかり続けると、関節軟骨は徐々に弾力性を失い、変性したり、すり減ったりしていきます。その結果、骨と骨とが直接ぶつかったり、削られた軟骨のかけらがひざ関節を包んでいる「関節包」という袋を刺激したりして、炎症を引き起こしてしまいます。

このようにして起こる病気が「変形性膝関節症」です。

変形性膝関節症の症状は

変形性膝関節症を放っておくと、関節軟骨がどんどんすり減っていき、やがて骨の一部がむき出しになったり、骨棘(こつきょく)と呼ばれるとげ状の骨が形成されるなど悪化していきます。

症状も、初めは動き始める時に痛むぐらいですが、進行すると動作中にも痛むようになり、さらに悪化すると安静時にも痛みが生じ、歩行が困難になります。

▼ ひざに水がたまる仕組み

ひざに炎症が起こると関節液(水)が普段よりも盛んに分泌されるため、関節包内の関節液の量が必要以上に増えてしまい、「ひざに水がたまる」と言われる状態になります。

ひざに水がたまると、腫れぼったくなって動かしにくくなる上に、痛みの原因になります。

どんな人に起こりやすい

■年齢が高い人

年齢を重ねるとひざに負担をかけている期間も長くなるため、 変形性膝関節症になる人が増えてきます。

■女 性

女性の発症率は男性の1.5~2倍とも言われています。女性ホル モンの影響や、男性に比べてひざ関節を支える筋力が弱いこと などが理由として考えられています。

■太っている人

体重が重いとひざへの負担も大きくなります。ひざには歩く時に体重の2~3倍の負荷がかかるとされています。

■“O(オー)脚”の人

O脚の人は、ひざ関節の内側に特に負担がかかります。そのため内側の関節軟骨がすり減りやすくなります。

現代医学での治療は

炎症を抑える治療法は、「保存療法」と「手術療法」の大きく2つに分けられます。

◆保存療法

非ステロイド性消炎鎮痛薬の外用や内服、関節液の成分であるヒアルロン酸の関節内注射といった「薬物療法」や「ひざにたまった水(関節液)を抜く治療」、患部を温める・冷やすといった「物理療法」などが行われる。

◆手術療法

保存療法を行ってもひざの痛みなどの症状が改善されない場合に検討される。 主な手術法としては、痛みの原因となっている軟骨のかけらや骨の変形した部分などを取り除く「関節鏡視下手術」や、O脚を矯正してひざの内部の負担を軽減する「高位脛骨(けいこつ)骨切り術」、変形したひざ関節を人工関節に置き換える「人工膝関節置換術」の3つがある。

漢方・生薬では

気血水

漢方の考え方の中には「気」「血」「水」というものがあります。

この「気」とは神経の働き、「血」は血行・ホルモン、「水」は水分代謝を意味し、これらのバランスが乱れると病気を引き起こし、中でも関節痛・神経痛といった“痛み”の疾患が起きやすいと考えています。

つまり気(神経の働き)、血(血行・ホルモン)、水(水分代謝)を整えることが、変形性膝関節症などによる“痛み”の改善につながるのです。

養 生 法

またお薬だけでなく、原因を考えた養生法を行うことも、変形性膝関節症の治療の 上で大切になってきます。次のような点を心がけましょう。

○運動する

ひざの痛みを改善するには、適度な運動が効果的です。運動は関節 軟骨の新陳代謝を活発にしますし、運動でひざ関節を支える筋肉を 鍛えることで、関節にかかる負担を少なくすることができます。

しかし、急にジョギングなど激しい運動をするとひざに負担をかけ てしまうため、注意が必要です。椅子に座りながら脚を交互に上げ るなど、まずはひざを支える筋肉を鍛える運動から始めてみましょう。

※注意:ひざの痛みが強い時や体調が悪い時には行わないようにしましょう。

○減量する

体重が増えるとひざへの負担が大きくなるため、肥満は症状を悪 化させる大きな要因です。

減量のポイントは「1日3食、規則正しく、バランスよく食べる こと」です。脂肪の摂取量は控えつつ、筋肉をつくるたんぱく質 や減量中に不足しがちなカルシウムは充分に取るよう心がけましょう。

漢方療法・中医学療法