古代は皮膚科を「瘡瘍科」と呼び、「瘡者皮外也、瘍者皮内也」(瘡は皮膚外の病証で、瘍は皮膚内の病証である)というように皮膚疾患を瘡と瘍に大別して認識していました。
皮膚病には、皮膚だけにおこる病気のほか、内臓などの病気から皮膚に病気がおこるもの、皮膚病から全身の病気がおこるものがあります。
皮膚は自身の目で異常を見つけやすい部分です。
皮膚は、からだをおおって、水やいろいろなものが、からだの中に侵入することを、防いでいます。 逆に、からだの中の水が外へですぎないようにするなど、生命維持に必要な働きをしています。
皮膚には毛の生える毛孔と、汗のでる汗孔がびっしりと配置されています。両方とも生まれてから死ぬまでその数は変化しません。
皮膚の厚さは、だいたい2ミリくらいで、構造は外側から表皮、真皮、皮下組織の3つに大きくわけられます。表皮の厚さは、約0.1ミリで、一番外層に存在する角質は、毛髪や爪に変化するものがあるほど丈夫で、からだの表面を保護するはたらきがあります。
角質がつねに新陳代謝をすることで、古い細胞が剥離して、代わりに表皮の奥のほうの新しい細胞が表面にでて、新しい角質となります。 角質層がこわれると、外からの刺激からまもれなくなって、皮膚病が発生します。
皮膚にあらわれる病変はさまざまです。皮膚に限った病気なのか、全身に病変のある病気なのかは、皮膚の症状を皮膚科で診断してもらい判断します。
丘疹は、1センチくらいまでのサイズで、皮膚から球のようにもりあがるものです。
炎症や腫瘍など、いろいろ皮膚病でとてもよくあらわれるものです。
丘疹は、1センチくらいまでのサイズで、皮膚から球のようにもりあがるものです。
炎症や腫瘍など、いろいろ皮膚病でとてもよくあらわれるものです
直径2センチ以上で、丘疹より大きいものをいいます。
しかし、単なる炎症では、このような大きさにはなりません。 腫瘍性の病気の可能性が常にあります。
角化は、表皮の角質が厚くなるものです。
いわゆる「たこ」や「うおのめ」がそうです。
水疱は、表皮の中や下に液体がたまったものです。
表皮の中にたまるものは、とびひや、かぶれなどが多い。表皮の下にたまるものは、はやけなどがそうです。
膿疱は、皮膚に膿がたまったものです。
細菌感染の場合が多いものです。
びらんは、表皮がかけて、赤くただれたものです。
皮膚をかいたり、こすったりするとできます。治ればあとはのこりません。
潰瘍は、皮膚の欠損が真皮にまで達したものです。
原因は、外傷によるものと、真皮の病変によるものとがあります。
鱗屑は、皮膚の角質が白くフケのようになったものです。
炎症性や腫瘍性の皮膚炎であらわれます。
痂皮は、血液成分が皮膚にくっついたものです。
いわゆる「かさぶた」のことです。これは、真皮内の出血や炎症が皮膚の表面におよんだものです。
熱傷とは、お湯や油などの熱・化学薬品などが原因で生じる体表組織(主に皮膚)の局所的損傷。火傷(やけど)。
【褥瘡(じょくそう※床ずれ)】
長期・長い時間にわたり同じ体勢で寝たきり、入院などになった場合など、体と支持面(多くはベッド)との接触している部分で血行が不全(悪くなって)となって、周辺組織に壊死を起こすものをいう。
【アトピー性皮膚炎】
皮膚の炎症や湿疹を伴う症状のうち、アレルギー反応と関連がある皮膚炎。
【接触性皮膚炎】
肌に触れたものによりおきる皮膚病のひとつ
【日光皮膚炎(ひやけ)】
紫外線を浴びることによって、皮膚が赤くなったり、炎症を起こすなどの症状が現れる。
【汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)※汗疱疹】
手や足の裏の発汗により小さな水泡が出来たり、皮がむけたりします。
角化症は足のかかとや靴によく当たる部分が硬くなる症状です。 角質が厚くなりすぎて水分が行きわたらなくなると、乾燥してあれたり、ひどくなるとひびわれたりします。
【伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)】
子供(小児)に生じるウイルス感染症の1つで、成人では性感染症としての側面がある。水イボともいう。
【?瘡(ざそう)※にきび】
思春期以後の男女の顔、頬、額などの皮膚の炎症疾患。吹き出物ともいわれる。
【汗疹(かんしん)※あせも】
多湿や高温、発汗時に小さな水ぶくれ(水泡)などが現れる皮膚疾患
【帯状疱疹(たいじょうほうしん)】
水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる水疱性皮膚疾患の一種。激痛などが起こる場合がある。
【凍傷(とうしょう)】
寒冷などの低温が原因によっておこる皮膚病で、手足の指や手足の背面、耳たぶ、鼻の頭、頬(ほお)など身体の末端露出部にでやすい。
【虫刺症(ちゅうししょう)】
昆虫類を含む虫に刺された時にできる傷であり、外傷の一つ。 かゆみ、時に痛みを伴う
【脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)】
頭や顔にフケのようなの付着物を伴う湿疹の一つ。
【貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)】
形状が貨幣状・円形などの形をとる湿疹。かゆみが強い場合がある。
【手湿疹(てしっしん)】
水仕事をする女性の手に湿疹ができる皮膚疾患。
洗剤などによって接触性皮膚炎を誘発して湿疹ができるのが原因の一つ。
【蕁麻疹(じんましん)】
多くはかゆみを伴い、突発的な湿疹が現われます。
【疣贅(イボ)】
皮膚にできる出来物の1つで、表皮が増殖して盛り上がって、表面の角質が厚くなったものをさします。
【伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)】
黄色ブドウ球菌・連鎖球菌が皮膚に感染し、水疱(すいほう)あるいは膿疱(のうほう)をつくる化膿性の病気です。
【円形脱毛症(えんけいだつもうしょう】
頭に円形の脱毛部分が出来る病気。 原因は確定されてはおらず、主に頭が起こされやすいが、まゆげやまつげなど、他の全身の毛の部分が脱落していまうこともあります。
皮膚疾患は中医外科の分野に属する。
古代は皮膚科を「瘡瘍科」と呼び、「瘡者皮外也、瘍者皮内也」(瘡は皮膚外の病証で、瘍は皮膚内の病証である)というように皮膚疾患を瘡と瘍に大別して認識していた。
自然界の風が?理に侵入すると、体表の営気の機能が乱れ、筋肉・皮膚における気血の流れが悪くなるため皮膚の症状が現れる。
【内風】
主に体内の陰血不足が原因となって生じる(血虚生風)。
血虚のため筋肉・皮膚の栄養が不足状態となり皮膚に症状が現れる。
内風による皮膚疾患は外風よりも慢性化しやすく、治りにくいことが多い。
気候・環境の影響をうけて外界から入り込んだ湿邪が、飲食不節制あるいは脾の運化機能の低下によって生じた水湿が、これが停滞すると皮膚疾患がおこる。
筋肉・皮膚に停滞した湿は取り除きにくく、皮膚症状をひきおこすか、症状を悪化させる原因となる。
湿邪が長期に内停すると熱化し、 湿熱の状態になることもある。
夏季の高温、あるいは体内の熱が筋肉・皮膚に鬱滞することが、皮膚の症状を引き起こす、あついは悪化させる病因となる。
気候の燥邪の侵入、あるいは体内の陰血不足によって皮膚が乾燥状態となり、潤いと栄養が欠乏すると、皮膚の症状が現れる。
長期的な皮膚疾患は局部だけではなく全身の気血の流れに影響を与え、?血が生じる。
また、長期化した皮膚症状は、患者に精神的苦痛をあたえ、肝鬱の原因となる。 肝気の鬱結は体内の気滞血?の状態をさらに悪化させる。
皮膚疾患は皮膚の問題だけではなく、臓腑の機能失調、あるいは病気による気血の消耗が原因することも少なくない。 五臓六腑の機能を整えながら、根本から皮膚の病症を改善する必要もある。
※ 「症例・体験談」で紹介している症例内容は、あくまで参考程度にして下さい。
※ 服用薬の効果は個人の体質・症状によって変わります。
※ また、「経過」についても個人の体質・症状などによって変わります。